米IT大手グーグルの親会社アルファベットの2017年度の売上高は、ついに1000億ドルを突破した。次なる主戦場として熱視線を送るのは、膨大なユーザーが眠るAPAC(アジア太平洋地域)である。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
「予算、場所、業種を設定するだけで後は自動です。たまに確認しますが、ほぼお任せです」
4月12日、米IT大手グーグルのシンガポールオフィスで開催された発表会。大画面に映し出されたのは、ITにあまり強そうとはいえない日本の中小企業が、グーグルのオンライン広告サービスを利用する姿だった。
映像の主役は愛媛県の老舗フェリー会社、宇和島運輸である。1884年創業で、四国と九州を結ぶフェリーを運航している。従来はテレビや紙媒体で宣伝してきたものの、地元の常連客の利用が中心で、観光客の獲得が悩みだった。
そんな折、地元の伊予銀行で開催されたセミナーで、グーグルの広告サービスを知った。早速グーグルに連絡を取り、業種や予算などの設定をするだけで、ほぼ自動的にオンライン広告を出稿してくれるサービスの導入を決めた。
検索キーワードの選定や予算などといった細かい調整は、機械学習で自動的にやってくれる。さほど手間が掛からないにもかかわらず、オンラインからの予約は2年前と比べ23%も増えた。今は地元の愛媛県以外の広告は、全てグーグルに一本化したという。
「われわれは地方の会社ですけれど、グーグルの技術に支えられているんだなと感じています」
宇和島運輸の松岡宏社長の言葉からは、グーグルが次なる成長エンジンとして狙う市場が透けて見える。それはAPAC(アジア太平洋地域)の中小企業だ。