豪徳寺「あめこや」――若いアンテナが、夢の蕎麦屋を創った
太さにムラがなく、切り口が綺麗でエッジが立っています。含むと十割のざらつき感があります。

 蕎麦は独学ですが、それまでに培った人脈から参考意見やアドバイスを取り入れながら研究を重ねてきました。

 独学でありながら修業を経た職人のように、蕎麦の切り口がシャープです。

 蕎麦好きは“エッジが立つ”という誉め方をしますが、そのエッジの立ちは舌と歯にほどのよい食感と心地のよい喉越しを与えてくれます。十割のざらつき感も特徴です。

豪徳寺「あめこや」――若いアンテナが、夢の蕎麦屋を創った
シンプルな釜揚げ蕎麦、蕎麦の風味と腰の強さを味わいます。黒胡椒を振ったつゆで頂きます。
豪徳寺「あめこや」――若いアンテナが、夢の蕎麦屋を創った
旬には生シラスのぶっかけ蕎麦も出てきました。ぶっかけは特に女性に人気があるそうです。

 この絶妙な食感は、皆さんにも実際に味わってもらうしか仕方無いかもしれません。

 しかし、蕎麦ほど好みが左右する食べ物はないかもしれません。

 蕎麦好きが次から次へと蕎麦屋巡りに走るのは、まだまだ美味しい、出合っていない蕎麦があるのではないかと考えるからでしょう。

 蕎麦好きの多様な感性に応えるように、全国から味わいの違う“多彩な蕎麦”をラインナップするのは、それに対する上田さんなりの答えかもしれません。

 蕎麦屋なら誰もが多種多彩な蕎麦を用意したい、とは思います。が、どんなにそれを望んでも困難なこともわかっています。

 「不思議とどなたかが助けてくれました」

豪徳寺「あめこや」――若いアンテナが、夢の蕎麦屋を創った
客からは美人女将の顔をなぞったという噂のおかめ蕎麦。季節限定の気まぐれメニューです。

 蕎麦の入手先は付き合いをしている蕎麦屋さんの引き合わせでした。そのルートは、僕が知る限りでは滅多に望めないようなところでした。

 振り返ると、蕎麦屋開業への過程にも必ずそうした人がいたといいます。

 それは幸運というよりはそれを招き入れた何か強い力があったのかもしれません。新しいことにトライする人にはそんな不思議な人間関係の繋がりが生まれるのでしょう。