問題は、こうした後見人が、家族や親族ではなく、成年後見人候補者として自らを登録しただけの弁護士や、司法書士などが指定されることが多いことだ。

 家族や親族が後見人となった場合でも、被後見人の財産を勝手に使ったり、被相続人間でトラブルが起こったりするケースがある。だが、それはマシな方で、いきなり見知らぬ“士業”の人物が後見人として現れ、財産を管理し、しかも少なからぬ費用を勝手に、かつ被後見人が死亡するまで取り続けるようになることに納得がいかない本人や家族は少なくない。

 家庭裁判所は、原則として本人への意思確認や、精神鑑定などの「審査」を行わなければならないのだが、明らかに必要ないと認めるときにはこれを行わなくてもいいという人道的に“粗末”な例外規定があり、審査を飛ばして後見人を選任することがあるのだという。

 後見の開始について、本人や家族は後見が不要だとの即時抗告をすることができるが、その期限は後見人の選任から2週間以内である。しかも、後見の通知自体が後見人に行くことがあり、後見人が2週間以上経過した後に通知を被後見人に送り、「家裁に選任された後見人だ」と名乗り出るような悪質なケースもあるという。

 後見人の報酬の額は、被後見人の預貯金額に比例し、たとえば被後見人の預貯金が1000万円以下でも“職業後見人”へは毎年24万円、預貯金額が5000万円以上だと年間60万~72万円程度の報酬を取られるのだと前掲書にはある。

 しかも、職業後見人が被後見人のために行うのは、被後見人の通帳を預かることと、年1回、家裁に後見事務の報告書を提出するだけというケースがほとんどなのだという。

 この手数料の水準を金融取引にたとえるなら、死ぬまで解約できないラップ運用を契約してしまったくらいの大失敗だ。報告書の作成は1時間も掛からない程度の作業であり、被後見者本人とほとんど会ったことさえない後見人が少なくないという。職業後見人にとっては、効率のいいビジネスだ。

 さらに、職業後見人は、被後見人に対して生活費の支払いを渋るケースが多く、「月額10万円くらいで生活せよ」と判断する場合が多いようだ。

 金融マン的な常識で判断すると、被後見人の預金残高に応じた手数料を取るのであれば、被後見人及びその家族にお金を使わせたくないと思うのが、後見人としては当然のビジネス判断だろう。