衛星の再利用サービスも続々登場
延命からデブリ除去まで注目の輸送サービス

 技術革命は、大型の衛星にも起こっています。例えば、オール電化衛星。化学燃料などを一切使わず、オール電化で動力を確保できる衛星です。ホールスラスター技術で大推力が得られ、長寿命で、積載量も軽くすることができます。次世代衛星として衛星産業を塗り替える勢いで加速しています。

 衛星は通常、軌道の変更や運用中の軌道のずれの修正などでスラスターと呼ばれる小さなロケットエンジンを使いますが、このスラスターの燃料がなくなると寿命をまっとうすることになります。

 寿命は、大型衛星でだいたい10年から15年くらいで、寿命が尽きれば、宇宙の墓場軌道に移動して廃棄されています。「ロボット衛星」が大型衛星の場所まで行って、自動でスラスターに燃料を入れて延命をする、モジュールを取り付けて延命したり高機能化するという軌道上のサービスも事業化されようとしています。

 通信放送衛星、気象衛星、測位衛星など、静止軌道に打ち上げられる衛星はとても高額で、打ち上げ費も高いものです。寿命が尽きても燃料が補給されれば延命できるものがあり、また通信衛星の大型アンテナなど、軌道上で再利用できるものもあります。

 通信衛星の最も高額で巨大なシステムであるアンテナの寿命は、衛星全体の寿命よりも長いので、アンテナに制御システムが追加されれば再利用も十分可能です。補給サービス衛星がアンテナに燃料と制御システムを取り付け、衛星本体からアンテナだけを切り離して所定の場所に移動することにより、アンテナを再利用することも検討されています。

 現在の衛星は一度燃料が切れればそれまでの寿命。ロケットの再利用に向けた開発レースが進む一方、軌道上では衛星の再利用、延命サービスが実現しようとしているのです。