スペースXでは、ファルコン9の第1段ロケットの垂直着陸による回収を行い、再利用しています。国際宇宙ステーションへの貨物補給サービスを行うドラゴン貨物船も再利用しています。

 また、回収してから次の飛行までの整備期間を短くしたり、第2段の再利用もできるようにしたりするなど、再利用は段階ごとに進化していく計画ですが、しかし、まだまだ求めるものは先にあるようです。究極の再利用は火星有人飛行のアーキテクチャーに生かされています。

人類が火星行きを実現するために、どうしても必要なこととは?ファルコン・ヘビーのサイド・ブースターは帰還に成功し、再利用を可能にした
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 火星行きを計画しているイーロン・マスクは、輸送コストを一般の人たちが使えるレベルにまで落とさないと、利用は促進されないと語っています。その実現に向けて編み出したのが、やはり再利用機体でした。第1段ロケットを回収するだけでなく、機体全体を回収することを考えているのです。

 まず、ロケットに宇宙船を載せて発射します。宇宙船を軌道に待機させると、ロケットだけ地球に戻ります。そして燃料を積んで、再び宇宙に飛び立ち、軌道上でロケットが運んできたタンクから燃料を移し、宇宙船だけ火星に向かいます。

 火星では、姿勢を制御して火星表面に着陸します。機体は地球への帰還にも利用。火星で生産した燃料で地球に戻るのです。

 燃料を2回に分けて運ぶのは、そのほうがロケットのサイズを小さくでき、使用エネルギーを削減できるからだといいます。この方法なら、機体の初期投資費用や燃料費を大幅に削減できるとイーロン・マスクは考えています。