このサービスは、衛星の位置移動、燃料補給、修理などの衛星延命をロボット衛星が行うというものです。オービタルATKのミッション延長衛星は、既存の衛星に接続したまま、親衛星の延命を行います。中古衛星利用という新しい価値が生まれるのです。

 スペースシステムズ・ロラールの軌道燃料補給機は、補給後にすぐに移動して他の衛星の補給サービスに移ります。

 さらに宇宙燃料ステーションでは、ロボットによる燃料注入や補修・交換などの技術に加え、宇宙空間での極低温燃料貯蔵技術がキーテクノロジーとなります。ULAやボーイングなどが、独自の燃料ステーションの提案を行っています。

 ロボット衛星による軌道サービスには、宇宙のごみと言われている「宇宙デブリ」除去もあります。宇宙デブリを減らすためには、宇宙デブリそのものを出さないようにロケットの上段や衛星に小型の機器を付けて再突入で燃焼させるか、墓場軌道に移動するといった方法があります。

 数多くの衛星が運用されている小型衛星でも寿命を終えた後の軌道離脱、大気圏再突入による消滅は必要で、そのためのデバイスが開発されています。

 地上3万6000キロの静止軌道で、こんなビジネスができる時代になってきているのです。ロケットの再利用という宇宙のアクセス手段だけでなく、軌道における衛星の修理や燃料注入による延命、宇宙デブリ除去などの宇宙軌道サービスが事業として始まろうとしています。

(この原稿は書籍『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)