JAL社員を残業から解き放ったCA出身副会長の働き方改革とは経営破綻したJALはどのように復活し、「働き方改革」のリーディングカンパニーになれたのか

JALの業績が好調だ。2017年4月~12月の第3四半期連結業績を見ると、売上高は前年同期比7.2%増の1兆460億円、純利益は5.4%増の1141億円。その背景の1つが、2014年から本格始動したダイバーシティ経営であり、15年からの働き方改革である。客室乗務員キャリア25年にして、2010年の経営破綻翌月に執行役員に抜擢され、16年にはJAL初の女性代表取締役となった大川順子氏が、ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長に語った「意識改革」の秘訣とは。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/内藤洋司)

客室乗務員から初の役員へ
「前例のない仕事」にチャレンジ

小室 今日はよろしくお願いします。JAL初の女性代表取締役である大川さんのことは、いろいろなメディアで拝見して、すでに面識があるつもりでしたが(笑)、こうやって改まってお話するのは初めてですね。

 まずはぜひ、ライフも含めたキャリアの歩みをお聞かせいただきたいです。最初は、客室乗務員として入社されたんですよね。

大川 そうです。当時は、客室乗務員として入社すると、乗務一筋というケースが多かったのですが、私の場合は、途中に何度か地上業務を経験する機会に恵まれました。

 メインは乗務で25年くらい飛んでいましたが、乗務以外に教官をしたり、CRMという客室乗務員向け安全訓練を導入したり、乗務員のパフォーマンスを評価するHTグレード(「Human=立ち振る舞い、業務姿勢」および「Technical=技量」から構成される15のエレメンツで乗務員を客観的・総合的に評価するシステム)を導入したり、という業務に携わってきました。

小室 そして役員になられたわけですけど、打診を受けたときに、躊躇することはなかったですか。

大川 JALは皆さまに大変ご迷惑をおかけした経営破綻があったわけですが、そのタイミングで役員になるということは、会社を建て直すことが使命だと思い、覚悟をもって決意しました。

 振り返ってみると、破綻前に携わった訓練や評価の導入なども、どれも前例のない仕事ばかりでした。破綻からの建て直しは、打診する側ですら、どんな仕事になるかわからない。逆に前例がなかったからこそやってみようと、覚悟を決めて決断できたのかもしれません。