「10の220乗」の棋譜数を操る
「三碧」ならではの圧倒的な直観力

「雷の三碧」は、暗闇を強烈な光で明るく照らすように、先がわからない未来を自らの強烈な意思と勇気で切り開いていく力、インスピレーションを持っています。

 将棋の棋譜数は「10の220乗」とも言われ、盤面はもはや無限に広がる宇宙のようなものです。そんな中でいかに駒の流れをつくっていくのか。

 次のような「雷の三碧」らしい羽生語録があります。

「一局の中で、直感によって、パッと一目見て『これが一番いいだろう』と閃いた手のほぼ7割は正しい選択をしている」(羽生善治著『決断力』より)

 将棋の世界は、「直感」「読み」「大局観」。
 これらを駆使して戦いに望んでいると言われています。
 羽生さんはプロの世界に入ってからすぐに頭角をあらわし、常にトップ棋士として経験を積んできました。
 その結果が、今時点での通算成績1400勝565敗(2018年4月19日対局分まで*日本将棋連盟ホームページより)。

 この膨大な経験値が、羽生さんの「直観力」の成熟度をあげないわけがありません。
 この語録通り、羽生さんの直観力=インスピレーションは、確信に近いレベルにまで昇華させ、さらにそれを自分への信頼と自信へという「強さ」の糧にしてきたともいえるでしょう。羽生さん自身が「雷の三碧」の「天の才」の塊のようなものですね。