加計問題で内閣府職員が学園の車を使用したことへの批判は的外れ加計問題で深刻なのは、攻める側の野党・メディアがあまりにも不勉強なことだ。内閣府職員が加計学園の車を使用したことへの批判は、それを象徴している 写真:首相官邸HPより

加計学園の「車」の使用は
そもそも便宜供与に当たるのか

 愛媛県知事が新たな文書を国会に提出したことで、加計学園問題がまた盛り上がっています。この問題を通じて常に感じるのは、「膿を出し切る」という安倍首相の発言とはかけ離れた関係者の不誠実な答弁、つまり守る側の対応の荒っぽさです。

 これでは、真相解明にはほど遠いと言わざるを得ませんが、守る側ばかりを批判するわけにも行きません。攻める側である野党やメディアも、あまり制度などの詳細を勉強せずに、印象論だけで非常に荒っぽい批判をしている面があるからです。

 それが改めて明確になったのは、獣医学部新設の特区認定を行った内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)が、今治市への出張の際に加計学園が用意した車を利用したという件に対する、野党とメディアの批判です。

 最初に事実を整理しておくと、今から3年前、愛媛県今治市による獣医学部新設の国家戦略特区の申請が検討されていたときに、藤原次長ほか数名の内閣府の職員が今治市に出張しました。その出張で、加計学園の本部がある岡山市から今治市への移動に際して、出張記録には“官用車を利用”と書いてあるにもかかわらず、実際には加計学園が用意した車を使っていました。

 この事実をもとに、野党は「藤原次長は加計学園から便宜供与を受けていた」「獣医学部新設の国家戦略特区の選定は、加計学園ありきで行われていた」と強く非難し、メディアも同様のトーンで藤原氏が罪を犯したかのように報道していました。

 しかし、移動に際して加計学園が用意した車を使ったことは、そこまで問題視すべき行為だったのでしょうか。

 確かに国家公務員倫理法では、公務員が利害関係者からの便宜供与を受けることは禁止されています。この法律の細目を定める政令に該当する国家公務員倫理規程でも、第3条第1項で公務員が行なってはならない行為(禁止行為)を列挙していますが、その中に「四 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で役務の提供を受けること」も含まれています。