(「しっかり診てもらえ」かぁ)

 愛由さんはこの先の入院生活を思い、うんざりした顔で天井を見上げた。

 (病気なんて見つかるはずない。だって私、そんな病気じゃないもん)

 叫びだしたい気持ちをぐっとこらえた。

大量の菓子を一気食いし
30分かけて吐いた

 すぐに夕食の時間となり、看護師が四角いお盆に載った食事を持ってきてくれた。明日は内視鏡検査があるので、消化のよい、軽めのメニューになっている。しかし、食欲がまったく湧かない愛由さんは、一切手を付けずに返してしまった。

「食べられませんか、しょうがないですね。先生にも報告しておきますね」

 心配する看護師の言葉には、毛布を頭からかぶり、背中を向けたままうなずいた。

 夕食後の病院の夜は長い。

 入院した病棟は6人部屋で、愛由さんのような検査入院のほか、眼科や耳鼻科、婦人科など、雑多な病気の患者がいた。重症の人はいないようだ。8時を過ぎ、面会の家族たちが帰ると、室内はひっそりと静まり返った。やがて消灯され、深夜0時を過ぎたころ、愛由さんはそーっと起き出した。

 ベッドの下には段ボール箱いっぱいにスナック菓子が入っている。「カサッ、コソッ」と周囲に気づかれないよう袋を破ると、口いっぱいに頬張り、がつがつと食べ始めた。一袋を空にするとすぐに次の袋を開ける。