出世をするには、自分の実績を残すことだと考える人は多いでしょう。しかし一人でできることには限界があります。それより、チームのメンバーを最適な配置にして、最適な仕事をやらせる方が大きな実績が積めるはずです。社長になる人というのは、例外なく「人を上手く使える人」です。人を上手く束ねられる人が出世するのです。

 しかしこのことを知らないビジネスマンのほうが圧倒的に多い。組織のリーダーになろうとするとき、組織をどう作るかという問題は避けられないものです。組織をどう構築するか、組織をどう運用するか、どう人を雇うか、どう人をトレーニングするか。そのスキルに秀でない限り、組織の中では上がっていけないのです。部下を持っている人はもちろん、これから部下を持ちたいと思っている人も、そのスキルを磨くべきです。

──そのためにはどんなことを学べば良いですか?

森岡 詳しくは『マーケティングとは「組織革命」である。』を読んでいただきたいのですが、簡単に言うと「人間の本質は自己保存である」ということを理解することです。完全な正解というものはありません。10の会社があれば、10の組織があるでしょう。しかし人間の本質を理解していれば、応用ができます。3人の部下を動かすのも、3000人の部下を動かすのも本質は同じです。

 たとえば発言するのは上司だけで、部下はメモを取るだけの無駄な会議というものがあります。部下は下手なことを言って上司の機嫌を損ねるよりも、黙っていた方が得だと思っているのです。人間は自分の身をリスクにさらすことを恐れる本能があるのです。ここを理解しておくことが大事です。

 活発に意見の出る会議にしたいなら、「みんな、発言しよう」と精神論に訴えるのではなく、発言しなければ自己保存できないルールに変えればいい。意見を言って貢献した人は評価して、意見を言わない人は評価を下げるという厳格なルールを作って運用すればいいのです。自己保存の本能を逆手にとって、「発言しないほうが安全」から「発言したほうが安全」にルールを変えていくのです。

 さらに、ちゃんと発表できなければみんなの前で恥をかく、信用を無くすという雰囲気にしていけば、人間は恥をかきたくないので一生懸命になります。そうやって人間の自己保存の本能を逆手にとって、会議だけではなく、会社のすべてのルールを変えていけばいいのです。