右太ももを痛めていた乾に至っては、途中出場すらかなわなかった。西野監督は記者会見で「ガーナ戦に出られないことはなかったが、リスクを考えて避けさせた」と乾の現状に言及した上で、コンディションが万全ではない3人を優先させた理由をこう説明した。

「本大会までまだ猶予がある。19日(のコロンビア代表戦)にベストパフォーマンスを出してくれるメンバー23人を、いろいろな可能性を考えた中で選ばせてもらいました」

浅野、三竿、井手口といった
これからを背負う若手の有望選手は選ばれず

 ガーナ戦でベンチ入りした26人から選外となったのは、23歳の浅野拓磨(シュツットガルト)と21歳の井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)、そして22歳の三竿健斗(鹿島アントラーズ)だった。いずれもリオデジャネイロ五輪世代であり、26人の中で年齢を若い順に並べれば井手口、三竿、浅野となって、最後には35歳のGK川島永嗣(FCメス)が来る。

 日本がロシア大会出場を決めた昨年8月31日のオーストラリア代表とのワールドカップ・アジア最終予選第9節(埼玉スタジアム)では、浅野が先制ゴール、井手口がダメ押しゴールをそれぞれ奪い、2‐0の快勝に大きく貢献している。

 くしくも浅野は本田圭佑(パチューカ)のポジションだった右ウイング、井手口は香川のそれだったインサイドハーフで先発をゲットしていた。日本代表における世代交代の象徴的な存在だったが、ワールドカップイヤーとなる2018年を迎えて状況が激変した。

 シュツットガルトの指揮官交代もあり、浅野はベンチ入りすらままならない実質的な戦力外となった。ガンバ大阪からイングランドのリーズ・ユナイテッドへ移籍した井手口は、就労ビザが発給されなかった関係でスペイン2部のクルトゥラル・レオネサへ期限付き移籍したものの新天地に順応できず、2月を最後に実戦でプレーしていなかった。

 4月7日に電撃解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ前監督も、浅野と井手口が直面している状況を問題視した。所属チームで出場機会を得ていない選手は招集しない、という明確な基準のもと、結果として最後の活動となった3月末のベルギー遠征でリストから外す荒療治を施している。

 慌ただしく船出した西野新監督は、極めて限られた準備期間の中でチームを機能させるためにも、過去の実績や経験を重視せざるを得なかった。メキシコの地で復調を果たしていた本田はもちろんのこと、香川や岡崎を半ば見切り発車的に招集した。乾の故障が発覚しても他の選手と入れ替えることなく、予定よりも早く合宿先に呼び寄せ、ドクターやトレーナーのチェックのもとで毎日のように状態を見極めてきた。