ネット上だけではない
他者攻撃癖を持つ人は増えている

 たとえば、そんな状況を如実に示しているのが、先日話題になったサッカー日本代表の本田圭佑選手のツイートである。

《人の悪いところを粗探しして優越感にひたろうとしている人。悪口を言い合える仲間を見つけて安心する人。気持ちは分かるし、僕は味方ですからね。僕も才能がなく祖父母からも「お前なんかがプロになれるか!」と言われて、コンプレックスだらけだったので》(6月22日のツィート)

 もちろん、真意はご本人にしかわからぬことだが、本田選手といえば、セネガル戦でゴールを決めて「手の平返し」で絶賛されるようになるまで、ネット上で「老害」「結果も出せないのに偉そうなこと言うな」「とっとと消えろ」などなど激しい罵詈雑言が浴びせられてきた人物。自分を一方的にボコボコに叩いていた「ネット弁慶」に言及したものではないかと推測ができてしまう。

「これは日本のためだ!」「サッカーを愛するがゆえの苦言だろうが!この素人が!」なんて反論が多く寄せられるかもしれないが、そこに「大義っぽい」ものがあるだけで、匿名という安全エリアから、面と向かって会ったこともない人間を、上から目線で叩いてスッキリみたいな構造でいえば、「低能先生」がやっていたことと、そう大差ないのである。

 では、なぜネット上には「低能先生」のように、他者攻撃癖を持つ人が増えているのだろうか。

 よく言われるのは、ネットやSNSが悪いという話だ。これまでなら話しかけることもできないような芸能人やら日本代表選手ともつながれることや、匿名で好き勝手なことを世界に発信できるようになったことで、その「万能感」が勘違いを生み、他者への攻撃にもつながっているのではないかというのだ。

 が、個人的には、これはどうにも賛同できない。ネットもSNSもなんだかんだ言って「便利なツール」に過ぎないからだ。

 通り魔殺人は、「刃物」が引き起こすのではなく、そのツールを握りしめて群衆を傷つけようと考える「人間」が引き起こす。それと同様に、この問題もまず「人の悪いところを粗探しして優越感にひたろう」という「人間」が増えていて、彼らがその目的を達成するのに適したツールとして、ネットやSNSを用いていると考えるべきだ。

 そう思うのは、ネットやSNSのみならず、現実世界にも「他者攻撃癖」を持つ人が増えていることがうかがえるからだ。