外形から整える意味

朝倉:そういう意味で、取締役や取締役会の役割に関する議論、「経営と執行」といったテーマは、現時点では日本における女性の管理職登用というテーマと同様に、まだまだ初期段階にあるんじゃないかと思います。
たとえば、カルビーは、「2020年に女性の管理職の比率を30%にする」といった、明確な数値目標を掲げてらっしゃいますよね。
当事者の資質以前に数値目標が示されていることに対して、色々と思う人もあるでしょうが、機会が設けられることでロールモデルができ、人が続いていくといった流れがきっと起こってくるのだと思います。だからこそ敢えて、数値目標を置いているのでしょう。
取締役に関するテーマも然りで、まずはコーポレートガバナンス・コードが定められ、「独立社外取締役を2名以上選任する」といった外形的なガイドラインが定められた。当然、チェックボックス式に、コーポレートガバナンス・コードで言及されている内容をクリアすればそれでいいというわけではなく、選任するにしても、その取締役が機能するだけの資質を有しているのかといった点が本当は重要なわけですが、まずは外形的に型を作って、順次、取締役会を意味あるものにしよう、という過渡期なんだと思います。

小林:コーポレートガバナンス・コードについては、これが策定されたことで、形式的に整えただけの会社が増えたという話も聞く一方で、とはいえ本質的な意味に近づいている点が一個あるとすると、「会社の舵取りを誰に任せるか」をちゃんと考える、ということなんじゃないかと思います。たとえばサクセション(後継)プランとか。これまでの取締役会では「これを議題に上げていいのか?」とタブーっぽかった話題が徐々に議論されるようになってきている。会社の経営上の重要なイシューがちゃんと議論されるようになったというのは、大きな動きとして感じますね。