誰でもすぐに使える
説明の型「IKPOLET法」とは…

 私は、これまで多い時で月に150時間以上の講義を10年以上行ってきました。これだけの時間を講義に費やすと、説明下手な私でも、受験生にしっかり理解してもらうにはどうすべきか、数をこなしていくうちに、その説明の構成要素と組み立て方が見えてくるようになったのです。

 そういったこれまでの経験から導き出した説明の型(フォーマット)が、以下の手順にある英単語の初めの文字をとった「IKPOLET(イクポレット)法」というものです。
 
 Step1 興味をひくInterest)
 Step2 受験生の持っている知識や認識にアクセスするKnowledge)
 Step3 目的を示すPurpose)
 Step4 大枠を見せるOutline)
 Step5 つなげるLink)
 Step6 具体化、事例、証拠を示すEmbodiment,Example,Evidence)
 Step7 転移させるTransfer)

 Step1では、「キミたちが毎日使っているスマホのバッテリー……。その歴史って、カエルから始まったの、知ってた?」のように、意外性を打ち出して受験生に興味を持たせます。ここのつかみを怠ったり誤ったりすると、その先の話を聴こうとしない可能性が高まります。

 Step2では、「最近話題になっている人工知能(AI)って知ってる?」のように、説明するテーマについて受験生がどの程度の知識を持っているのかを確認します。受験生のレベルを把握することで、理解に早く到達するための説明をしなければなりません。

 Step3では、「キミたちが今取り組んでいる計算トレーニングはね、次のレベルの問題を解くのに必要になるスキルなんだ」のように、受験生にわかってもらいたい内容、または、それを理解してもらうための目的を説明します。すると受験生は頭の中で整理していき、 “理解の方向性”つまり、目的が定まるのです。目的を明確にしないまま物事を進めてしまうと、受験生も講師もお互いに不幸になってしまいかねません。

 Step4では、「この資料は、全体で20枚あり、今話している内容は10枚目の話なんだよ」のように、これから説明するテーマの大枠を示し、そのテーマがどの位置にあるのかを話してあげることで、受験生がそのテーマを俯瞰することができるようになります。物事を俯瞰できるかどうかで、受験生が理解するスピード具合も変わってきます。

 Step5では、「放射能が危険な理由は、DNAに直接ダメージを与えてしまうからなんだ」のように、因果関係などの物事の“つながり”を説明していきます。そうすることで、受験生の頭の中で既存の知識と新たな知識がどんどんつながっていき、理解が促進されるのです。

 Step6では、「この法則を用いた具体例としてはね……」のように、抽象的な内容や真偽が定かでないものを説明する時には、イメージしやすいレベルまで落とし込むのがコツです。

 Step7では、「気体で学んだ状態方程式の使い方って、浸透圧の問題を解く時にも利用できるんだ」のように、講師が説明しているもの(または、説明したもの)がその場面だけにとどまらず、他の場面でも使えることを示すのです。そうすると受験生に、「なるほど、他の場面でも使えるんだ!」と納得させることができます。説明の内容を理解すれば応用がきくということをアピールするのです。