持ち家vs賃貸
どちらが得か?

 持ち家か、賃貸か。このテーマについては長く語られてきていますが、専門家それぞれにスタンスが異なり、明確な結論は出ていません。私のところにも、こうした相談はたびたび寄せられますが、FPといえども、この問いに明確な答えを出すことは難しいと感じています。

 というのも、住まいにはその人の人生観が大きく反映されるので、単純に「損得」で割り切ることができないものだからです。

 例えば最近、バッグや時計などブランド品のレンタルビジネスが人気を集めています。「いろいろ違うものを試すことができていい」と愛用する人がいる一方で、「自分のものでなくては嫌だ」と、あくまで所有にこだわる人もいます。これもまた、人生観の違いによるものでしょう。ましてや、家を買うには何千万円という大金が必要です。電卓をはじいての損得だけで明確な答えを出すことはできないのです。

 とはいえ、電卓をはじいての損得においても、明確な結論を引き出すことはできません。なぜなら、将来の金利や不動産価格の変化、家族構成の変化や転勤の有無等により、事情がまったく違ってくるからです。そして何より、「何歳まで生きるか」によって損得が大きく変わりますが、こればかりは予測がつかないからです。

高度経済成長期には
モデルケースがあった

 過去を振り返ると、高度経済成長期までは、モデルケースが存在していました。男性なら、よい大学を出て大企業に入り、30歳くらいまでには結婚する。女性は専業主婦となり、子どもは2人の4人家族。多くの男性にとって、マイホーム、なかでも庭付き一戸建てを持つことは共通の夢でした。

 時代とともにマンション派も増えていったものの、それでもマイホーム神話は長く健在で、「マイホームを買ってこそ一人前」と思われてきました。こういった神話を盤石なものにした背景には、その頃の日本が高度経済成長期で、毎年平均数%ずつ経済成長していることもあって「不動産は値下がりしない」という、購入を後押しする環境があったからです。