「息を吸うと、肋骨筋が上がったり下がったりすることによって、肺を膨らますんです。ところが、背中が曲がったり、骨格が曲がったりすることによって、肺が膨らまなくなる。息の容量が少なくなってしまうんですね。酸素が足りなくなれば、血流が悪くなる。体の筋肉が緊張して、血行に異常をきたし、『心拍変動』にも影響するのです」

 山本さんは、高齢者が将来、寝たきりや要介護にならないよう、筋力の低下を防ぐことが大事だという、日本整形外科学会が2007年に提唱した「ロコモティブ症候群」に注目した。

「歩いていない、動いていないということは、筋肉を使っていない。気持ちで動きたいと思っても、体がついていけなくなる。引きこもりの人たちもメカニズムは同じなのではないか」

 多くの人たちは、体は自然に動くものだと思っている。ところが、ねん挫などで痛みをかばう姿勢がずっと残っていたりすると、体の左右のバランスが変わってくると、山本さんは説明する。

 つまり、右に傾いていれば、右足に負担がかかり、体は中心軸からブレるというのである。

「どうしたら直接、体がほぐれるのかというと、温めてあげるとか、スキンシップをすることです。私たちはお薬を使えませんので、アロマオイルを併用しています。嗅覚や皮膚からだと、すぐに効果が表れます。骨盤が曲がると、必ず首に来ます。気持ちがうつになったら、姿勢を正して後ろ向きになることはない。どうしても前かがみになるので、首に負担がかかる。うつのときでも、薬を飲む前に、まず首を治して様子を見ることです。体が動くようになれば、気持ちも違ってきます」

 実際、引きこもっていた当事者たちも、こうした施術を受け、回復していったケースも少なくない。