仕事の8割が「1個、2個」の受注

 ものづくりの世界でも、ロングテール型の例があります。

 関西IT戦略会議の「2003年度 関西IT百撰」に選ばれたバネの会社があります。

 この会社では、基本的に大量生産せず、インターネットを活用して一般顧客から受注。
 平均受注個数は5個。
 しかも、バネの基本的な構造設計式も公開して、お客様に設計してもらったバネを注文しています。

 また、一度受注したバネはデータベースとして残るので、リピート注文があったときに、すばやく情報を取り出し、生産できます。

 大量受注、大量生産はしない戦略です。

 これからは「パレートの法則に則った従来型の会社」と「ロングテール型の会社」は混在していきますが、ヒルトップは明らかにロングテール型です。

 当社では、受発注システムと会計解析システムを使って、リアルタイムに情報を分析していますが、1個の受注が68%、2個の受注が10.7%。両方合わせて約80%が「1個、2個」の受注です。

 これを無人化してこなすという非常にめずらしい会社で、取引社数も2018年度末には3000社を超える見込です。

 これからの製造業は、売れ筋をただ大量生産するだけでなく、「あの会社にお願いしたら、どんなものでもつくってくれる」と言われる多品種少量生産への対応が求められているのです。

 今回、年間2000人の見学者が訪れる、鉄工所なのに鉄工所らしくない「HILLTOP」の本社屋や工場、社内の雰囲気を初めて公開しました。ピンクの本社屋、オレンジのエレベータ、カフェテリア風の社員食堂など、ほんの少し覗いてみたい方は、ぜひ第1回連載記事をご覧いただければと思います。