「ロングテール戦略」とは
一方、これと対照的なのが、「ロングテール戦略」です。
「ロングテール戦略」とは、「アマゾン」のように、ニッチであまり販売されていない商品を多様に揃えることによって、全体の売上を上げる戦略です。
全体の売上を「(縦軸の)販売数×(横軸の)商品数」としてグラフ化し、販売成績のよいものを左側から順に並べると、あまり売れない商品が右側になだらかに長く伸びます。
このグラフの形状が恐竜に似て、長いしっぽが続くように見えることから「ロングテール」と名づけられました。
ロングテール戦略には、
「年間、数個しか売れない商品を大量に扱うことで、総数として大きな売上が得られる」
「売上を多数の商品で分散して稼いでいるので、ひとつの商品の売上が凋落しても、全体へのダメージは限定的」
「上位商品や特定の顧客に依存しない」
というメリットがあります。
ロングテール戦略を提唱した、アメリカ『WIRED』誌の元編集長、クリス・アンダーソンは、大手書店の「バーンズ&ノーブル」と「アマゾン」を比較しています。
「バーンズ&ノーブル」で扱っている書籍は13万種。
これに対し、アマゾンは230万種でした。
しかも、アマゾンでは、販売ランキング「13万位以下」の売上が全体の「57%」を占めていたといいます。
リアル書店では棚のスペースに制限があるので、売上を最大化するには、ベストセラーを陳列するのがこれまでの常識でした。
しかし、アマゾンでは、年に数冊しか売れない書籍の販売量が、ベストセラーの売上を上回っていたのです(注・クリス・アンダーソンの計算には間違いがあることも指摘されていますが、ロングテールという現象が実際に起きていることは間違いではありません)。
専門書の単価は高いので、利益率も高い。
アマゾンは、インターネットを使って圧倒的に優位なポジションに立ち、ロングテール型ビジネスを確立させました。