米ゼネラル・エレクトリック(GE)は6月末、事業再編の一環で主力のヘルスケア事業を分離する計画を明らかにした。独立する医療機器世界メガはすでに新たな挑戦に乗り出している。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第1特集「製薬 電機 IT/医療産業エリート大争奪戦」の拡大版として、産業のキーマンたちのインタビューを特別連載でお届けする。第5回は米GEヘルスケアの日本法人、GEヘルスケア・ジャパンの多田荘一郎社長兼CEO(最高経営責任者)に聞く。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)
――人口に対するCT(コンピューター断層撮影装置)とMRI(磁気共鳴画像診断装置)の台数が世界で最も多い。高額な機器が狭い国土にこんなに必要なのかという皮肉も込めて日本は「CT大国」「MRI大国」と言われます。医療機器の世界メガであるGEヘルスケアはこれら画像診断装置で大きな商売をしてきました。
確かに諸外国に比べると多い。ただ、それの何がいけないんでしょうか。日本の医療費40兆円に多く占めるのは人件費。薬剤費の割合も高い。これらを減らせるのがわれわれのテクノロジーです。患者数を減らしたり、予後(病状の見通し)を良くして入院日数を短くできる。世の中を悪くしているということではありません。
――であれば、もっと有効に活用できないんでしょうか。
“適切な”医療とは何なのか。その定義を議論しないといけませんが、ある患者にある治療をしなくても予後が変わらないとしたら、それは適切ではないということでしょう。“ムダ”な医療を明らかにするには、感情論ではなく、治療がうまくいったのか否かをデータで見ないといけません。
技術の力によって、質を上げながらコスト面でも効率の良い医療を提供ができるようにサポートする。そこに今、われわれは取り組んでいます。
――技術の力とは?
一つは平たく言うとネットワーク。医療提供側は機能分化して、それぞれの機能を強化し、その機能を連携する流れにあります。連携をサポートするのがデジタルを使ったネットワークです。
――医療機関と医療機関をつなぐという意味ですか?