戦力が均衡し実力差縮小
20年目のJリーグに異変

 20年目を迎えたJリーグで、ちょっとした異変が起きている。最近は各クラブの戦力均衡が進み上位と下位の実力差が少なくなっているが、今季はとくにその傾向が顕著で、どこが勝つか判らない「戦国」状態にあるのだ。

 その異変は順位に表れている。第7節を終えた時点で首位に立っているのは仙台。6勝1分と負け知らずで勝点19。早くも2位名古屋に勝点5の差をつけている。試合内容も堂々たるもので、得点18はリーグ最多(2位は名古屋の11)、失点6はリーグで3番目に少ない(失点が少ない1位は鳥栖の3、2位は広島の5)。得失点差+12はダントツの1位だ(2位は広島の+5)。

 仙台は昨年4位で、やはり開幕から12戦無敗(6勝6分)の記録を作っているから、首位にいるのは少しも不思議ではないが、ここまでの快進撃を予想した人は少ないだろう。日本代表経験者は柳沢敦と関口訓充のふたりだけで、全国区の知名度を持つ選手はほとんどいない。ホームタウンは東日本大震災の被災地であり、練習環境の悪化、観客動員減少といった苦労も味わった。昨季の好成績は選手がそうした逆境を跳ね返そうと奮い立った結果であり、今季も継続できるとは限らないと思われた。

 だが、仙台はそんな予想を見事にくつがえした。昨季の4位は決してフロックではなく、実力であることを示しているのだ。

 今年J1に昇格したばかりの鳥栖が5位にいるのも驚きだ。現時点の成績は4勝2敗1分。勝点13は4位広島・6位浦和と並んでいるし、2位名古屋・3位磐田は勝点14。鳥栖は強豪クラブとともに首位仙台を追いかける第2グループにいることになる。

 鳥栖は1999年のJ2創設時に参加した10クラブのうちのひとつ。他の9クラブはすでにJ1昇格経験があり、J2創設時のクラブとしては最後にJ1昇格を果たした。J2でも下位に低迷することが多い弱小クラブだったのだ。