ちなみにベクレルとは、放射性物質が放射線を出して崩壊し、別の物質に変わるときに出る放射線量の単位で、1秒間に1個の原子核が崩壊すると1ベクレルである。1秒間に100個の原子核が崩壊する能力があれば100ベクレルだ。

 チェルノブイリ事故(1986年4月26日)でも、子どもの健康被害(小児甲状腺ガン4000例《死者15人》)が計数として明確になったのは20年後の2005年である。おとなのガン死亡者発生数はよくわからず、将来を含めた予測で4000人(IAEA)、9000人(WHO)から9万人(グリーンピース)まで幅が広い。確実な計数はわからないのである(★注②)。

 公衆被曝年間1mSvを基準にして決めた食品汚染の新基準値なのだから、政府も自治体も厳格に守るべきであり、医学論争は専門家に任せておけばいい。

 チェルノブイリ原発事故で現在はっきりしているのは、小児甲状腺ガンの増加である。子どもの検診は成長後の将来にわたって継続しなければならない。

諸外国の輸入食品規制値より
はるかに厳しくなった日本の規制値

 国内産食品の規制値のほかに、輸入食品の暫定規制値がある。これはチェルノブイリ原発事故後、厚生省(当時)が定めたものだ。現在もこの規制値は生きており、これを当時は「輸入食品中の放射能の濃度限度」といっていた。

 輸入食品の暫定規制値は、日本の場合、セシウムで370ベクレル/kg(全食品)だ。この規制値を求めた論拠は以下のとおりである(★注③)。昨年4月15日付のレポートで紹介したことがあるが、もう一度掲載しておく。

・医療被曝や自然放射線による被曝を除く全ての被曝源からの線量合計は、一般公衆の線量限度5mSv(1986年基準★注④)以下に制限される
・輸入食品からの被曝限度をその3分の1とする
・セシウム134とセシウム137の全放射性降下物における比率を66%、ストロンチウム90を33%、その他を1%とする
・一人当たり一日の摂取食物のうち、輸入食品の比率を35%とし、その全てが汚染されていると仮定
・以上の前提と仮定をもとに計算すると、セシウムの限度は421ベクレル/kgとなる
・さらに総合的に判断し、370ベクレル/kgとする

 アメリカの輸入食品暫定規制値は370ベクレル、EUは370ベクレル(乳幼児用食品)と600ベクレル(一般食品)だから、いろいろ仮定を積み上げているものの、アメリカに合わせたのだろう。なお、370ベクレルは、1年間毎日1キログラム食べた場合に0.04mSvに相当するという。