ある集団が、合議で意思決定を行なうものとします。この集団が強固な結束を持っていると、メンバーに画一性を保つよう圧力をかけたり、集団内の閉鎖的な思考を強いたり、集団自体を過大評価する妄想を起こさせたりします。

 その結果、メンバーが個々に行なうよりも、不合理な意思決定をしてしまうのです。

 ここで、集団思考が生まれるメカニズムを見てみましょう。

発言をしなかった人が
じつは逆の意見の場合も

できる人は統計思考で判断する 篠原拓也 著本コラム著者・篠原拓也氏の新刊書

 会議のメンバーの1人が、ある議案について、自分なりの意見を持っていたとします。それを会議の場で素直に表明できればよいのですが、必ずしもそう簡単にいくとは限りません。

 たとえば、すでに発言した人の意見が、自分の意見とは逆だったとします。その発言に対して、他のメンバーがうなずくなど、賛同の姿勢を見せていたらどうでしょう。

 こんな風に考えてしまうのではありませんか。

「自分の意見を言うと、この場を乱すことになりはしないだろうか。意見を言うことで、自分の評価を下げてしまうことになりはしないだろうか。みんなから、つまはじきにされはしないだろうか……」

 あるいは、次のような、自分に対する言い訳を思いつくかもしれません。

「別に、ここで自分の意見を表明しなくても、特に困ることはない。みんなが考えている意見のほうが、きっと自分ひとりが考えているものよりも正しいに違いない。今後のこともあるし、ここは自分の意見を捨てて、『和を尊ぶ』という選択も重要だ」