そもそも、がん検診の目的は、健常者の中から、がんにかかっている集団を絞り込むことにあります。そのためには、やたらに偽陽性を増やさないことが求められるのです。その結果、どうしてもこのように偽陰性が出てしまいます。

 偽陰性は、検診を定期的に受けることで、減らすことができます。このため、実際のがん検診では、陰性の結果が出ても、定期的に検診を受けるよう奨励されています。

偽陰性の精度を0人まで上げると
偽陽性の比率が9割以上に増加

 同じ医療の検査でも、臨床検査はがん検診とは異なります。臨床検査は、患者や病気の疑いがある人を対象にします。がんにかかっている疑いがある場合には、そのがんを検出することを目的とします。このため、偽陰性を減らすことが求められるのです。すなわち、検診の感度(陽性の判定)を高める必要があるのです。

 この様子を、臨床検査モデルとして数値で見てみましょう。

(臨床検査モデル)

 10000人の集団を考えます。このうち、がんにかかっている人の割合は、1%とします。この集団が、全員、臨床検査を受けることにします。

 がんにかかっている人は、検査の結果99.9%の確率で、陽性の結果を受けるものとします。

 一方、がんにかかっていない人は90%の確率で、陰性の結果を受けるものとします。

臨床検査の結果

 この臨床検査モデルでは、偽陰性は0人となりましたが、そのかわりに、偽陽性の割合は9割を超えてしまっています。

 このように、検診に完璧なものはなく、ある程度の偽陽性や偽陰性が出てしまうのです。

 そこで、検診では、結果の見方を踏まえておくことが重要です。

 検診に関する情報の開示を進めて、周知を徹底すれば、一般の人の受検の決断がしやすくなり、受検率の向上につながるものと考えられます。

 状況の正しい把握が必要なことは、何も検診だけに限りません。

 正しい決断をするためには、まず、正確な情報をもとに、自分の頭で状況を正しく把握することが必要なのです。

 ここまで述べてきたことを踏まえて、まずは定期的な検診を受けるべきと思われますが、いかがでしょうか。