15日間にわたって行われた第100回全国高校野球選手権記念大会の入場者数は101万5000人と過去最多、史上初めて100万人を突破した。春夏連覇を果たした大阪桐蔭と、秋田県勢として103年ぶりに決勝に進んだ金足農業の決勝戦も大きな話題を呼んだ。数字の上では「“野球離れ”どこ吹く風」の甲子園人気だが、この盛り上がりは野球人気再興につながるのか? 横浜DeNAベイスターズ初代球団社長で、現在はスポーツ庁参与を務める池田純氏に聞いた。(構成/大塚一樹)

史上最多の観客数、テレビでは連日報道されているが……

甲子園の記録的な人気は「子どもの野球離れ」の歯止めにつながるか写真はイメージです Photo:PIXTA

 大阪桐蔭と金足農業の決勝戦に駆け付けた観客の数は4万5000人。早朝から「満員通知」が出されることも珍しくなかった。

 一部指定席化、有料席値上げなどをもろともしない「甲子園人気」は高まる一方に見えるが、横浜DeNAベイスターズで“子どもの野球離れ”を目の当たりにし、独自の改革を進めた池田純氏は、違った視点から甲子園の喧騒を眺めている。

「高校野球、甲子園がこれだけ話題になるのは素晴らしいことですよね。やっぱり甲子園はすごいなと思います。“甲子園ファン”は根強い。でも、この“甲子園人気”が即、子どもの野球人気につながるとはいえないというのが、私があらためて考えさせられた点です」

 池田氏が指摘するのは、野球界、ファンの両側面から、日本の野球の未来を担う子どもたちへの影響力だ。

「野球をすでにやっていて、甲子園を見て選手に憧れを抱く子どもたちはいると思います。今大会で一躍人気者になった吉田輝星投手(金足農業)のようになりたいと言う子どもは、すでに野球が好きな子どもたちの中にはかなりいるでしょう。しかし、私がベイスターズの球団社長時代から、子どもが野球を始めるきっかけ、接点の多様化に苦慮してきたのと同様に、『甲子園が野球を始めるきっかけになっているか?』というと、いまだに懸念が残ります」