高校野球の甲子園大会は、強豪校と一般校でカテゴリー分けをしてはどうかPhoto:PIXTA

 今夏の高校野球選手権大会は「第100回」の節目に相応しい大変な盛り上がりを見せた。

 記念大会の特例で史上最多となる56校が出場し、それぞれの奮闘が感動を呼んだが、極めつけのドラマは高校野球の神様が「100回の節目だから実現させたのではないか」と思わせるようなあまりにも対照的なチーム同士の対戦にあった。

記念大会にふさわしかった
ドラマチックな決勝の顔合わせ

 超高校級の好素材を揃え、2度目の春夏連覇を目標に勝ち進んできた大阪桐蔭は、高校野球実力ランキングがあれば間違いなく1位にランクされるチームだろう。日本一の激戦地区・大阪の代表だけあって戦い方は洗練され勝ち方を熟知している。

 一方、金足農業は秋田の県立高校。全員が地元の中学出身だ。強化する予算も少なく、十分とは言えない環境で選手を3年かけて高校で戦えるレベルに引き上げてきた。県予選から甲子園の決勝まで9人で交代なく戦ってきたところに、そんなチーム事情がうかがえる。

 ただ、今年のチームには全国トップクラスの好投手、吉田輝星がいた。「吉田がいれば、甲子園でも勝てる」と9人のレギュラー選手は自信を持ってプレーしたわけだ。実際、甲子園では並み居る強豪を相手にドラマチックな勝利を重ね、決勝まで勝ち上がった。つまり決勝戦は、勝利を追求する点で現代高校野球の最先端を行くチーム(大阪桐蔭)と、昔ながらのチームづくりを強いられつつも選手が成長することで頂点への夢が持てるようになったチーム(金足農業)の対決になり、そのドラマ性にファンは熱狂したわけだ。

 その結果は、ご存じの通り、13-2で大阪桐蔭の勝利。大阪桐蔭は強豪としての実力を発揮した一方、金足農は頼みの綱の吉田投手に連投の疲れが出て夢破れた。大阪桐蔭は強豪としての驕りを少しも感じさせないすばらしいチームだったが、世間は1人で投げ抜いてきた吉田投手の頑張りと金足農ナインの戦いぶりを称賛し、優勝チームが霞んでしまう珍現象が起きた。