憲法学者・木村草太氏が語る
日本国憲法と生活保護
2018年8月24日・25日の2日間、生活保護とその周辺の問題に関心を寄せる全国の地方議員が鹿児島市に集まり、「第10回生活保護問題議員研修会 “敬天愛人”のまち 鹿児島から生活保護を考える」に参加した。
この研修会のサブタイトルは「今こそ問われる、地方行政のあり方」である。生活保護は国の制度であり、現在費用の75%は国が負担している。しかし実施は、地方自治体の責任において行われる。さらに、実際の運用にあたるのは各地方自治体が設置した福祉事務所であり、生活保護を必要とする人々に実際に対応するのは、福祉事務所の相談員やケースワーカーたち個々人だ。
だから、各地の「その地」で生活保護の運用に働きかける力を持っている地方議員の意識は、極めて重要な意味を持つ。
今回は、8月25日午後に行われた、木村草太氏(首都大学東京 大学院教授)の講演「生存権はなぜ生まれ、何を保障しているのか」の内容の一部を紹介する。外国人への生活保護の適用や死刑の是非など、賛否とも激論になりやすくタイムリーな話題が多数取り上げられていたからだ。身近な話題を憲法のメガネで眺めると、何が見えてくるだろうか。
日本は、国の経済システムの根本として自由主義を採用している。「現在、実は“新”自由主義なのでは?」というツッコミはさておき、木村氏によれば、日本国憲法には「経済は自由主義」と明記されている。該当箇所は、まず13条だ。
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。