大腸がんを発見・治療する上で必要不可欠なのは、胃の場合と同様、「内視鏡検査」です。そして、大腸がんの多くはポリープが徐々に悪化して発生することがわかっており、ポリープの段階で発見すれば、内視鏡検査の時に同時に取り除くことができます。すなわち、大腸内視鏡検査は、がんの発見だけではなく、がんの発生を予防することもできる一石二鳥の検査法なのです。

 さらに、日本の大腸内視鏡検査の技術は国際的にもトップクラスです。しかし、この検査は肛門から内視鏡を挿入するため、羞恥心から検査を躊躇する方が多いのも事実です。そのため、医療現場では、検査を受ける時に着用する検査着は臀部がしっかりと覆われるものを使用するなど、羞恥心が最小限になるように工夫が施されています。そして、検査時に痛みや苦痛を伴わないように、静脈麻酔を用いる医療機関が増えています。

日本人のがん罹患率・死亡率が減らないのは、
食の欧米化、運動量の少なさも背景に

 大腸がんの死亡率を減らせていない日本は、そのマネジメントにおいて米国の後塵を拝しています。米国ではがんを減らすための国家プロジェクトが立ち上げられ、がん予防に効果的な食事の研究が進められて、がんの死亡数が減少に転じたという事実があります。

 がんの発症は食事の影響を強く受けます。日本食は、2013年12月に世界無形文化遺産に登録されました。健康長寿を生む食事であると世界から注目を受けており、実際、日本食は健康にいいはずなのに、日本人のがん死は国際的に少ないとはいえません。現代の日本人の食習慣は欧米化が進んでおり、肉や脂肪の摂取量は過去50年で数倍から10倍にまで増加していることが影響しているのかもしれません。

 特に、大腸がんの発症予防のために十分な量が必要になる野菜の摂取量は、以前に比べて減少しています。加えて、日本の成人の運動量は国際的に見て少ない状況です。適度な運動は大腸がんの予防効果があるといわれていますので、その点も改善の余地があります。

 そして、国が先導して「がん対策推進基本計画」なるものが日本のがん医療の問題点を改善するために打ち立てられていますが、とても国家プロジェクトとして国民に浸透しているとはいえません。こうした状況下で、日本人一人ひとりが食事や運動などの生活習慣を本気で改善しなければ、日本のがん死亡率を減少させることは難しいでしょう。

>>大腸がん予防、科学的に実証or効果が期待できる10の習慣」に続きます

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)

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