「有能さ」ではなく「姿勢」を褒められると、
モチベーションも成績も向上する

 このように、「頭の良さ=能力」を褒めると、自分の能力の高さに対する期待を裏切りたくないという思いになる一方、「もし期待を裏切ったらどうしよう」という不安に駆られてしまう。その結果、確実に成功しそうなやさしい課題を選ぶ。つまり、守りの姿勢に入るため、チャレンジがしにくくなるのだ。

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今の若者が頑張れなかったり傷つきやすかったりするのは、欧米流「褒めて育てる」思想の感化を受けてきたのが要因。臨床心理学データに基づき欧米の真似ごとを一刀両断します!

 それに対して「頑張り=努力」を褒めると、努力する人間だという期待を裏切りたくないという思いに駆られ、「次ももっと努力している姿を見せなくては…」という気持ちになり、チャレンジしがいのある難しい課題を選ぶ。

 最後に、初めにやったものと同じくらい簡単なパズルをやらせてみると、条件によって成績までが大きく違うことがわかったのだ。

 最初のパズルの後に「頭の良さ」を褒められた者の成績は、最初の時よりも大きく落ち込み、何も言われなかった者の成績を大きく下回っていた。反対に、最初のパズルの後に「頑張り」を褒められた者の成績は、最初の時よりも大幅に向上し、何も言われなかった者の成績を大きく上回っていた。

 この実験からわかったことを簡単にまとめると、以下のようになる。

「頭の良さ」を褒められると気持ちが委縮し、守りの姿勢になってモチベーションが下がり、実際のパフォーマンスも低下しやすい。「頭の良さ」を褒めることは承認欲求を強め、期待に添えない結果になることを恐れるなど、心理面で不安定に陥りやすい。

 褒めるのが良いか悪いかということよりも、褒め方が非常に重要なのだ。モチベーションの高さを維持させるためには、「有能さ」より「頑張る姿勢」を褒める方がよいことがわかるだろう。

 このように何でも褒めればよいというわけではない。褒め方によっては、その弊害が出ることがある。褒め方にもコツがあるということを理解しておきたい。

(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)