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帝人は、7月下旬にフランスの拠点で新規製造ラインを立ち上げたばかりだが、8月上旬にはポルトガルの成形メーカー(写真)を電撃買収した 写真提供:2点とも、帝人・複合成形材料事業本部

 近年の帝人グループが展開する企業広告シリーズになぞらえれば、「米国での買収だけじゃない」となる。

 8月22日、自動車メーカー向けの新ビジネスに注力する帝人は、ポルトガルに本社を置き、欧州で広域展開する複合材料成形メーカーのイナパル・プラスティコの全株式を取得し、完全子会社化すると発表した。買収金額は50億円前後とみられる。金額は決して大きくないが、昨年来の同社の迅速な動きには刮目すべきものがある。

 順を追って、整理しよう。

 まず、2017年1月に帝人は過去最大の約840億円を投じて、自動車向けのビジネスでティア1(自動車メーカーに直接納品する1次部材メーカー)と認定されている北米最大のコンチネンタル・ストラクチュアル・プラスチックス(CSP)を傘下に収めた。

 帝人が持つ炭素繊維を扱う技術と、樹脂加工メーカーのCSPが得意とするガラス繊維強化樹脂の技術を組み合わせ、自動車の軽量化にフォーカスして動き始める。

 通常、素材を販売する化学メーカーは、自動車メーカーの担当者と直接やりとりすることはなく、ティア2(ティア1に納品する2次部材メーカー)を通じて自社の新製品などを持ち込む。

 ところが帝人は、自らが雲の上のような存在だったティア1になることにより、自動車メーカーと一緒になって素材の将来を考えるという“特別な立場”を得た。