林先生が語る
「仕事ができる」人間の条件とは?
「山の八白」の特性である不動心。
林先生の場合、どんな質問でも同様もせず淡々と答えられる自信と平常心。
これらをどう培ってきたのでしょう?
その答えは、林先生なりに「先を読む感覚」を磨いてきたから、と言えるでしょう。
この「先を読む感覚」とは何でしょうか?
それは「時間を支配する」という感覚です。
では、「時間を支配する」とは何か?
林先生は「想像力」と「観察力」だと言います。
たとえば、あなたは「仕事ができる人」とはどのような人だと思いますか?
・バンバン契約を取ってくる人?
・カッコよくプレゼンできる人?
林先生は以下のような人が「仕事ができる人」だと言います。
『突然のトラブルを手際よく解決できる人』
予測もできないからトラブルなのに……と思いがちですが、林先生の考え方は違います。
初めからトラブルが起きることを想像してそのための準備をしておけばよい、という考えです。つまりトラブルを想定内にしてしまう。
たとえば「企画が煮詰まらない」というのもトラブルの一つ。
林先生の「想像力」「観察力」について、打合せの準備の例で言うとこうです。
「あの人はこんな凡ミスをするのではないか(想像)。ならば……」
「あの人はこういう切り口での資料は用意しないだろう(想像)。ならば……」
「このテーマはこっちの話題にも広がりそうだ(想像)。ならば……」
これまでのスタッフの性格や考え方を観察して、企画内容の展開を自分なりに想像するのです。
そのうえで準備しておけばいざというとき慌てずにすみますよね。
そして、その準備したことがかえって喜ばれる。
結果、頼りになる人だという評価を受けるわけです。
心に余裕があるからこその不動心は、日頃の「観察」と「想像」から生まれると言ってもよさそうです。
「観察」と「想像」で先読み=時間をコントロールする=余裕が生まれる
林先生からすればトラブルは想定内なので、その対応としての準備があるわけです。
林先生と仕事する人はずいぶん先生に助けられていることでしょうね。
《もちろん、それでもすべてのトラブルを回避することはできません。しかし、このような時間を支配しようという意識で未来を見通す感覚を磨いていけば、想像力のレベルが上がり、危機回避能力もそれにつれて上がっていくものなのです》
(林修著『林修の仕事原論』青春出版社)
林先生は、こうした先読みの感覚を20歳代はじめのころから訓練をして身につけ習慣化してきたそうです。
大学を卒業してある金融機関に就職したものの半年足らずで退職したのも、「この会社は長くない」と感じたからでした。
案の定、数年後にその金融機関は林先生が感じたとおり破綻しました。
不動の心を養うにはどうすればよいか。
それには、人の意見を受け入れる柔軟性はもちろん、時間をコントロールする想像力と観察力。
常に自分を変えて行くのだという意識が必要です。
「不動」とは、地道な努力の蓄積でもありますから、林先生を見習って、人として大切な不動の心を磨いていきたいものですね。
信和義塾大學校創設者兼塾長、経営コンサルタント
早稲田大学商学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院ブランディング実践講座エグゼグティブコースを修める。ハーバードビジネススクールでは経営学を学ぶ(いずれも短期集中型の経営者クラス)。1992年、地球サミットに国連認定ジャーナリストとして参加したことを契機に環境ジャーナリストとして活動。1997年の地球温暖化防止京都会議を機に、株式会社エコライフ研究所設立。環境ジャーナリストとしての取材・分析力と経営コンサルタントとしての提案力をベースに、800社以上を環境ビジネスに参入させ成果を挙げる。その傍ら、住宅、環境を軸にした本を多数出版(本書が30冊目)。講演依頼も多く、国内外で2000回以上の実績。2005年、教育研修会社の株式会社ゴクーを設立。1万人のサンプリングを体系化した『9code(ナインコード)』をもとに、信和義塾大學校で指導にあたるほか、企業や各種組織で『9code』を利用したコンサルティングや人材活用研修も多い。現在、信和義塾大學校は、世界6ヵ国20都市以上にあり、塾生は700名超。