11 、やっぱり無理だ。いちかばちか流しちゃえ!とした場合の責任問題

 東日本大震災の無料法律相談事例集(日本弁護士連合会)には、下水道か上水道か明らかではありませんが、水漏れ事例が記録されています。

 ケース169 マンションの水漏れで、階下の人に損害が発生した。家具買い替え請求を受けているが、どう対応すればよいか?

 ケース188 震災で上階から漏水。マンション自室が水浸しになり、修繕に200万かかる予定。上階の所有者に修繕費を出してもらいたいが回答がない。近々マンション管理組合の集会に諮(はか)る予定

「東日本大震災無料法律相談事例集(日本弁護士連合会)」より引用

 熊本地震でご自身も被災された 弁護士法人リーガル・プロ代表で弁護士の鹿瀬島正剛氏にお話を伺ったところ、熊本地震でも通常の水漏れの相談はあったとのこと。そして通常の水漏れが、地震だけを原因として漏れていたのに対し、震災後、配水管などの確認前にトイレで水を流すのは、自らの行為が介在するので不法行為による過失が認定される可能性もあるとのことです。

 隣や上の階といった隣人ともめるとその後の生活が苦しくなるので、東日本大震災や熊本地震では訴訟ではなく、震災ADR(※)による調停が多く選択されていました。住民が多く、引越も多い地域であれば、訴訟の可能性も高くなるかもしれません。

 また、地震保険に加入していたとしても、階下への水漏れなど、第3者への損害は、保証対象ではありません。損害賠償責任を負うとなると保険でカバーされないのです。以下、とある損害保険会社のホームページのQ&Aには以下のように掲載されていました。

地震保険について

Q,地震で水道管が破裂し階下へ被害を与えてしまいました。自分の地震保険か火災保険で階下の損害を補償してもらえますか?

A,いいえ、地震により他人に与えてしまった損害については、ご自身の火災保険・地震保険いずれでも補償されません。

(注:ただし、一般社団法人日本損害保険協会によれば、この場合でも「階下の人」が地震保険に加入して入れば、「階下の人」の地震保険が有効になる可能性があるとのこと。最後まであきらめずに確認してくださいね。また、上記をもって地震保険に入らなくてもよいとは思わないでください。加入によって生活再建のスピードは格段に速くなる可能性がありますし、意外なメリットもあります。)

※震災ADRとは
 ADRとは、判決等の裁判によらない紛争解決方法をいいます。
 弁護士会のADRは、弁護士が、中立の立場で「和解のあっせん人」となって、当事者の言い分をよく聞いて、ときには、双方に、有益と思われる「あっせん案」を提示するなどして、当事者間での自主的な解決、すなわち、和解による解決を援助、促進する手続です。
 このように、弁護士会ADRは、話し合いによる円満な解決を目指す手続です。
 法的紛争に関して、当事者間で話し合いの余地があって、双方が、弁護士という法律の専門家から事情に応じた法的助言を得ることで、互いに歩み寄る可能性があるような事案に有効であるといえます。
熊本弁護士会HPより)