日本の造船業が青息吐息だ。かつて日本勢は、
高度経済成長を牽引したかつての名門、重工系造船部門の「敗戦処理」が始まろうとしている Photo:Bloomberg/gettyimages
「昔はね、OBに『造船会社はクジラだ』って言われた。たまに水面に浮上して息ができれば生きていけるんだって。でも今そんなふうに考えてたら、会社を維持できない」
三井E&Sホールディングス(旧三井造船)傘下の三井E&S造船社長である古賀哲郎氏ははっきり言うが、何も先人たちがのんきだったわけではない。
船の世界は、景気や為替によって市況が揺れやすい。だが世の中の荷物の9割以上は船が運んでいるのだから、不況になってもじっと我慢していれば稼げるときが必ず来る──。これが“クジラ理論”で、造船関係者は経験則からこれを信じて疑わなかった。







