米ウェスティングハウスを買収し、大けがを負った東芝がその典型だが、日立も現在、イギリスへの原発輸出で 動きがとれなくなっている。安全基準の強化による建設費の高騰で、3兆円の建設資金を調達するめどがたたない中、原発建設の中核企業の米建設大手ベクテルが撤退を決めた。

 もはや事業の継続は困難だが、撤退を決めると、日立は最大2700億円の損失が生じるため、やめるにやめられない状況だ。

 同様に、三菱重工が取り組むトルコの原発建設も当初2兆円だった建設費が2倍以上に膨らんだため、伊藤忠が撤退を決めた。この他にもベトナム、リトアニア、台湾など、原発という「不良債権」がどんどん積み上がっている。安倍首相が力を入れた「原発セールス外交」はことごとく失敗に帰している。

 産業を見渡せば、最後に残った自動車産業も電気自動車(EV)転換が遅れ、将来的に不安が抱かれる状況だ。政府も今頃になって「AIによる第4次産業革命」を言い始めたが、大手自動車会社の自動運転はアメリカで開発されている。

 もし2020年代後半に電気自動車シフトが一気に早まった場合、貿易黒字の8割近くを占める自動車輸出が失われれば、日本経済は屋台骨が揺らぐことになる。

 世界がしのぎを削るIoTの「戦場」ともいえる、小規模な再生可能エネルギーを調節する送配電のためのグリッドシステムや省エネのための建物管理などの分野は、原発推進のために決定的に遅れ始めている。

 第5次エネルギー基本計画で、政府は2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率を「22~24%」にする目標を掲げるが、2017年度時点で15.6%だから、13年間かけて7%ほど、年換算では0.5%前後しか増やす気がないのだ。

 太陽光発電だけを見ても、世界では設備容量が2012年の100GWから2017年位は 402GWと4倍に急増しているが、日本の基本計画では2030年の電源構成比を7%とし、2017年の5.7%から、今後 13年間で1.3%しか増やさないつもりなのだ。この調子では、日本はエネルギーでガラパゴス化してしまうだろう。

 アメリカにはマイクロソフト、グーグル、アマゾンをはじめ、並みいるIT企業が存在するが、日本のIT企業の衰退は著しい。どのように、それを根本的に立て直すかという戦略抜きに、「AIによる第4次産業革命」と口先で言っても、「一億総活躍社会」や「働き方改革」と同じようにかけ声だけに終わるだろう。

所得再分配だけでは不十分
「利権化」した規制緩和

 アベノミクスの主要政策である異次元金融緩和は、ゾンビ化した古い産業や企業を生き残らせるために機能している。そして古い産業構造を維持するためにむちゃな財政金融政策を続ければ、未来の世代に回されるツケはますます膨らむだけだろう。