2012年までの11年間で
「患者」は6倍、「被害者」は4倍に

 QEESIを用いた調査は、2000年7月にも、内山名誉教授らにより、訪問面接方式で実施されている。このときの対象者は男女4000人で、2851人から回答を得た。

 その結果は、過敏症の診断を受けた人が0.81%、シックハウス症候群の診断を受けた人が0.53%、「高感受性」の人が0.74%、「準・高感受性」の人が2.1%だった。

 二つの調査結果をまとめたのが次の表だ。

 調査方式が異なるので単純な比較はできないが、約11年の間に、過敏症の患者が約3割、シックハウス症候群の患者が約8割増えている(注3)

 過敏症患者の増え方がシックハウス症候群の増え方より少ないのは、過敏症の診断が難しく、診断書を出す専門医の少ないことが関係していると考えられる。

 注目されるのは、高感受性の人と準・高感受性の人の激増ぶりで、前者は約6倍、後者は約4倍にもなっている。

 内山・東両氏らの論文はこの変化について「化学物質に対して感受性が高いと考えられる人は、約11年経過した現在でも、ある程度の割合で依然として存在していることが明らかになった」と述べるにとどめている。これは社会的影響を考え控えめな表現にしたものと考えられる。

(注3)訪問面接方式では、人との接触を避けたがる高感受性の人から回答を得にくい一方、ネット調査では、パソコンを使用できない人が対象から外れる。

日米で重なり合う
被害者たちの悩み

 前回の「香害ウォッチ 『香害先進国』米国の悲惨な実態、成人3人に1人が被害者」(2018年 8月29日付け)では、アン・スタイネマン教授の調査研究を基に、アメリカの悲惨な実態を紹介した。

 スタイネマン教授のアンケート方式と、内山・東両氏のQEESIを用いた調査は方式が全く異なるが、あえて類似のものを比較すれば、次のようになる。

 ▽アメリカの過敏症患者=12.8%、日本の「高感受性の人」=4.4%
 ▽アメリカの「香害」被害者=34.7%、日本の「準・高感受性の人」=7.7%

 このように日米の被害の程度は異なるが、被害者たちの悩みの内容は重なり合うところが多い(注4)