契約の在り方を変える
スマートコントラクト

 そう思うのにも、理由があります。実は今、ブロックチェーン技術を利用した新しい契約の手法が広まっているからです。

 それが「スマートコントラクト」。政府の保証や第三者の介在がなくとも、契約が有効であることを証明し、より安全により早く契約が実行できる仕組みです。

 特徴は、プログラミングコードとして契約が記載されていることです。コードなので、契約を事前に定義しておきます。その際、XやYといった「変数」を契約に用いることができます。

 これはどういうことでしょうか。

 プログラミングでは、「もしも~のときは……をしなさい」という意味の「IF~Then……」という構文があります。これを契約に応用できるのです。

 例えば、AさんとBさんが契約を結ぼうとしていたとします。ただし「条件Xが整ったときに初めて契約が実行される」というように決めることができる。これにより、条件Xの現状が不透明だとしても、XはXのままで合意できれば契約が有効になるのです。

 紙であれば、そう簡単に事が運びません。事前の協議では、条件Xについて、「さまざまな場合分けをして、とことん詰めましょう」という話になりやすい。一度契約を結べても、あらためて修正契約を結ぶことになるでしょう。

 とりわけ、プロジェクトが煮詰まっていない段階や、条件Xに不確定要素が多いと、かなり議論しなければならず、大変な労力と時間がかかっていました。

 それが、スマートコントラクトが広まることで、契約はより柔軟になっていく。静的な紙の契約とは違って、スマートコントラクトは契約を動的に、ダイナミックに処理することができます。不確定な条件に変数を用いれば、あるとき、「X=1」と確定し、契約が自動的に実行されるのです。

 仮に、ソフトウエアを作るため、エンジニアのAさんに仕事を依頼するとしましょう。しかし、有能なAさんなので「たくさんのプロジェクトを引き受けているのでできません」と断られてしまいます。

 普通なら、そこで終わりでした。ですが、もしAさんに「案件自体は面白そうなので、仕事に空きが出たらやってみたい」と言ってもらえれば、大きな前進となります。