Bさんのモチベーションがさらに向上したのはむろん、Bさんよりはましな成績ではあったけれど、あまり振るわなかったほかの営業職の人たちにもよい影響がありました。「いままではBさんが最下位だったし、できないもの同士でいいと思っていたけれど、Bさんがやる気を出したなら、まずい。自分もこのままではいられない」と、やる気が波及したのです。

 その後はタイミングを計って少しずつ、目標を高くしていくと、モチベーションが持続します。1件取れたら次は3件、3件をクリアできたら5件というふうに、その人の成長に合わせて目標を変えていくのです。

 おそらく本当にできない人などいません。ただ、成績が出せない人は、話をきちんと聞いてもらう機会を逸し続けて、どうしていいかわからなくなっていたり、やる気を出すきっかけを失っていたりして、活性化できていないだけなのです。ほとんどの上司は「使えない」と思っている部下について、本気で話を聞いていないし、対話をしていないから、その人をやる気にさせることができないでいるのだと思います。

 そして、私は上司として、彼らのやる気をどう引き出したかについてお話ししましたが、自分ができないと思っている人も、いまの話を応用していくつかやれることがあると思います。

 成績が振るわなかったときは、必ず自分の行動を分析して、どこに原因があるかを考える。あるいは人の話を聞いていて、どうしたら成功するのか、どうしたから失敗したのかを考えて、自分の営業の行動に生かすこと。

 自分を客観視する努力をすること。できるだけ自分をオープンにして、自分に対する人の意見を聞けるようにすること。そしてできない理由を探したり、できないことを正当化したり、周りのせいにするのをやめること。

 全部できなくてもいいのです。何か思い当たることがあったらひとつずつ改善してみてはどうでしょう。最初からこの人はできない、あるいは自分はできないと決めつけない。まずはそこに、できない人ができる人に変貌するカギがあると思います。

(エイトウッズ代表取締役社長 八木昌実、構成/ライター 奥田由意)