さびしいひとを、放っておけない、さびしがり屋
私は、かなりのさびしがり屋だ。
ひとりぼっちになったとき、さびしく感じるというのではない。
まわりのひとたちが元気なく、さびしそうにしているのを見ると、自分までさびしくなる、という種類のさびしがり屋だ。
この種のさびしがり屋の性分は、元気のないひとを見ると、エネルギーが湧きあがってくるというもの。もはや本能といえるかもしれない。
「なんとか、この元気のないひとを元気にしたい」
この湧き出る思いはどうしようもない。
若いころ、小さな宴席などに顔を出していてもそうだった。
5、6人ほどの宴席でわいわいと騒ぎながら、話の中心にいていちばんしゃべるのが私。ジョークや小噺(ばなし)を飛ばしながら、誰よりも面白いスベらない話をしようと夢中になり、何も食べない、何も飲まないことも多かった。
(たぶん“割り勘負け”していただろう)
そうこうしながら、ふと隣の席の友人A君を見ると、なんとなく笑いが少ないことに気がつく。
笑っていても心から面白がっているふうではない。ほかの友人たちと比べて口数も断然少ない。
こんなとき、私の本能が目を覚ます。
新しい話題を提供して真っ先にA君のほうに顔を向ける。
「で、A君どう思う、いまの話」
発言の機会をA君に与えると、それまで聞き役に徹していたA君が重い口を開く。
一度口を開いたら、もうA君は会話の中心にぐっと入りこんでくる。笑うときもほんとうに楽しそうに笑う。
(私が飛ばすジョークへの反応も、はなはだよろしくなる)
そんな短時間のうちのA君の変貌を見て、私も安心する。心から嬉しくなる。会はいっそう盛り上がり、私もますますジョークが冴(さ)えてくる。
(たぶん)
船舶事業部でも外食事業部でも、さびしいひとを放っておけないこの私の性分がぐぐっと頭をもたげ、頭をフル回転させることとなった。
どうすれば、みんなが元気を出してくれるのか!?
次回、紹介しよう。
☆ps.
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