似た語を脳から引っ張りだす
その気づきが「ダジャレ力」

 ダジャレスキル以前に、ダジャレというクリエイションの根幹を成す思考「見立て」について、どうしてもしっかり述べておきたく、2回にわたり書いたところで、いよいよ本格的に使い方の基礎講座に入りましょう。

 まずはダジャレが生み出される思考回路について。思いつくためのもとの材料である「ダジャレ素材語」(いま命名しましたが今後これでいきます)をAとして、結びつける他の語をBとし、これを「ダジャレ加工語」(これも今命名)とする。

 Aを見たり聞いたりしたときに、脳の中から引っ張り出してくるBを使って加工したものが、ダジャレです。AがBに似ていることに、なるべく速く気づくことが、つまりは「ダジャレ力」というわけです。

 結びつける構造は様々あるのですが、どんな語の場合でもまず考えるのは、同じ母音の段で子音列を差し替えるという手法で、これが基本のキ。その名も「子音交換」(またまた今命名)。ここをしっかり把握しないうちに他の構造のことは考えなくてもよいでしょう。

 とはいえもったいぶらずに「石黒式ダジャレ構造分類」について参考までに述べますと、他には子音が同じ行で母音が差し替わる「母音交換」「子音倒置」「同行変換」「部分削除」「部分挿入」「頭部付加」「語尾付加」「体言用言変化」「部分重複」「完全重複」「部分重複合体」「近似反復」など(これらの用語全部も命名は今。今後これでいきます)。ここをベースに、僕が現時点で14種類に大分類していますが、これは追々、特に詳しく解説していきます。今回は連載開始から間もないということで、まずは胸に…いや、Dカップに…いや、母音に特化して述べていきますね。