袋の中に粘液が溜まる同様の病変はいくつかあり、IPMNがその大部分を占めます。IPMNは初期の段階では良性ですが、これが徐々にがん化することがわかってきました。すなわち、IPMNは膵臓がんのいわゆる前がん状態とも言えるので、もしそれが発見された場合は厳重にマークする必要があります。

 定期的にMRCP検査を行って悪性を示唆する動きがあれば速やかに治療(手術)に移行します。それにより、膵臓がんを早期に発見、治療することが可能となります。MRCP検査はCTと同様にドーム状の検査機器の中に寝ているだけで実施でき造影剤を使用する必要もありません。膵臓がんのリスク評価やスクリーニングを行う際に是非お勧めしたい、負担の少ない安全な検査です。

リキッドバイオプシーなどの
最新技術により早期発見が可能に

 最近では、エコー、CT、MRIなどの画像検査で、がんを捉えられないような極めて早期の段階でがんを検出する方法の研究がさかんです。血液中に漏出しているエクソソームと呼ばれる粒子やそれに関連したmiRNAという微小なRNAを検出して関連するがんの診断を行う方法です。

 各種のがんに応じたエクソソームやmiRNAが、がんの極めて早期な段階で血液中に存在していることがわかっています。液体である血液の採取のみで調べることができるため、組織を切除して調べる検査(生検:バイオプシー)にたとえて、この技術はリキッドバイオプシー(リキッドは「液体」)と呼ばれ大変期待されています。

 エクソソームはがんだけではなく、慢性閉塞性呼吸疾患、アルツハイマー病、自己免疫疾患などの難治性の疾患との関連性もわかってきており、様々な疾患の診断、治療に今後応用される可能性があります。膵臓がんの早期発見法への応用が期待される将来大変有望な医療技術の一つです。

40歳を過ぎたら年1回は検査を
医師が考える膵臓がんへの対処法

 診断が困難で、進行が速く、手術の規模は大きく、生存率がもっとも低い――。膵臓がんは、がんの中で最も厄介なものの一つです。しかし、膵臓がんが発生することを恐れているだけでは解決につながりません。また、たとえ膵臓がんにかかっても、サバイバー生存率が示すように、生き延びるほど克服できる可能性が大きくなるわけだけだから、希望をもって治療に挑みたいものです。