生活保護費引き下げで浮かび上がる
受給者の深刻な「社会的孤立」
2018年10月1日、生活保護費のうち生活費分(生活扶助)の見直しが、改正生活保護法の施行(一部条文を除く)とともに実施された。30%の世帯では若干の引き上げとなったが、70%の世帯では引き下げ(2020年までに段階的に最大5%、今回は最大1.7%)である。
10月9日と10日の2日間にわたり、生活保護問題対策会議などが設置した全国一斉ホットラインには、全国の当事者たちから、150件の声が寄せられた。本記事では当事者の声を、今回の当事者の声を受け止めた弁護士らの声とともに紹介する。
私にとって意外だったのは、ホットラインに寄せられた当事者の声の重点が必ずしも「引き下げで生活が苦しくなる」というところにはなかったこと、さらに、今回の見直しで引き下げとならず引き上げとなった当事者の声も少なくなかったことだ。
最も深刻だと感じられたのは、社会的孤立の問題だ。
「メンタルの不調が続いています。長らく、生活保護基準以下の暮らしを続けてきました。現在は生活保護で暮らしており、担当ケースワーカーからは精神障害者向けの社会生活訓練を勧められています」(関東・男性・年齢不詳・単身)
「法律以前に、身近な生活相談に応じていただけるところはないでしょうか。生活保護で暮らせていますが、精神疾患を抱えて、孤立しています」(関東・女性・40代・単身)
「生活していて、困ったときに相談できる相手がいないんです。でも、既存の支援団体にも抵抗があります」(関東・女性・40代・単身)
貧困ゆえに孤立したのか、孤立ゆえに貧困に陥ったのか。社会的に排除されて孤立したのか、孤立したから社会的に排除されたのか。因果関係はわからない。しかし私は、「生活保護で暮らす人々は社会的孤立状態に陥りやすい」という現実を、改めて突き付けられた気がした。