「この数年で登録される世界遺産の増加が著しくなっており、希少価値が低下していることから、世界遺産自体のブランド価値の低下が止まりません。また最近では広域の遺産を対象とした『遺産群』としての世界遺産登録も増えており、どこがメインの場所なのか、どこを主に訪れるとよいのか、観光客が分かりづらいケースも少なくありません。『長崎・天草の潜伏キリシタン関連遺産』がその典型で、世界文化遺産登録されたにもかかわらず、長崎県の魅力度ランキングが1位しか上昇していないのは、効果が弱まっている証拠と考えられます」(田中社長)

 世界遺産と合わせて効果を弱めているのが、大河ドラマと連続ドラマ小説。以前であれば放映後に比較的長期間、観光などで効果を発揮できていたが、「多くの場合、効果があるのは放映をしている1年間や半年だけ。視聴率が良くても必ず観光につながるわけではない」(田中社長)というから、都道府県や市区町村も過剰な期待をするのは非常に危険だ。

 また、魅力度アップに効果が薄いドラマほど、「ドラマの舞台に観光資源としての『実体』がなく、どこを訪れればいいのかわからないケースが少なくない」と田中社長は語る。『あまちゃん』の舞台だった岩手県久慈市でいまだに観光地として集客できているのは、北三陸鉄道や海女さんやウニ丼など、わかりやすい観光資源の実体があるのが大きいだろう。

自治体のPR動画は魅力度アップに効果薄
再生回数ほど盛り上がらない?

 そのほか、都道府県や市区町村が過剰な期待を寄せて施策を行っているにもかかわらず、「魅力度アップには想像よりも貢献していない」と田中社長が指摘するのが、ここ数年でブームになったシティプロモーションの一環として作成される「PR動画」だ。

 例えば、「思わず二度見る」と注目を集めたフランス人男性が登場する宮崎県小林市の動画は再生回数が250万回(2018年10月時点)を突破しているが、今回の調査では魅力度680位(昨年は803位)。情報接触度に関しては、驚異の動画再生回数を誇りながら711位に留まっている。また同調査によると、SNSで小林市の情報に接触した人も0.7%しかいないという(全国平均0.7%)

 魅力的な動画を作成し、注目を集めるのも市区町村の戦略の1つかもしれないが、動画だけでイメージや魅力度を一気に上げるのは極めて難しい。

 そもそもわが町に、魅力的な観光資源の「実体」があるのか。もしあったとしても、それをきちんとPRできているのか。そうした視点が欠けたままでは、魅力度をアップさせたり、観光客を集めたりするプロモーションにつながらず、オンライン上だけの盛り上がりで終わってしまうかもしれない。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 林 恭子)