昨年、平均寿命が男女ともに80歳を超える最高齢を更新し、いまや世界的に見ても“長寿大国”となった日本。しかし、「長生き」は本当に幸せなことなのだろうか。厚生労働省の統計(2016年)によると、日本人は平均寿命と健康寿命の差が大きく、男性は約9年、女性は約12年も不健康な期間があるとされている。年々平均寿命が延びている日本人にとって、「いきいきと健康のまま長生きすること」はこれからの課題となってくるだろう。そこで、『「日本人の体質」研究でわかった 長寿の習慣』(青春出版社刊)の著者・奥田昌子氏が、日本人の体質や病気の傾向に特化した健康対策をアドバイスする。
“あの制度”が長寿大国・日本を築き上げた!
そもそも、日本人の平均寿命はなぜここまで延びたのだろうか?平均寿命を決める要因はたくさんあるが、その中で、日本人の平均寿命が急速に延びて欧米先進国を次々と追い抜いたきっかけは、子供の死亡率の低下である。1947年には1000人あたり76.7人の子どもが生後1歳までに亡くなっていたが、その後、肺炎や胃腸炎、結核をはじめとする感染症の予防法と治療法が開発されたことで、1980年には7.5人、2016年には2.0人まで減っている。これにつれて、日本人の平均寿命は大きく延びたのである。