新聞社の影響力の強いテレビ局では、軽減税率を解説する際、新聞が軽減税率の対象であることを説明しないで、消費税増税を是認する報道が多いと、筆者は感じている。

 今回も、消費税増税をなんとしてもやりたい財務省の「意向」を受けて(あるいは「忖度」して)、消費税増税を閣議決定したかのような報道になったのではないか。

増税主張の根拠は怪しい
「財政再建は完了している」

 だがここに来て、消費税増税に対する世間の風向きが変化しつつあると、筆者は感じている。

 まず、自民総裁選後、来年10月の前にある夏の参院選挙がかなり意識されるようになった。自民党の議員の中から、消費税増税を掲げて参院選を勝てるのかという、政治家としては当然ともいえる意見が出始めた。

 こうした声が大きくなり、勢いを増すきっかけになりそうなのが、これまで財務省が消費税増税の根拠としていた「財政危機」説が危うくなっていることだ。

 本コラムの読者であれば、筆者が政府のバランスシートを分析して、国の財政状況が悪くないことを何度も書いてきたことを知っているだろう(例えば、2015年2月5日付け「国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法」)。

 これとほぼ同じ内容のものが、最近、国際通貨基金(IMF)から発表された。IMFの「財政モニター報告書」だ。

 これは、各国の財政状況について、負債だけではなく資産にも注目して分析したものだ。

 この報告書では、日本政府の負債額は国内総生産(GDP)の283%に相当するが、半分以上を日銀や公的年金などの、いわば公的機関が保有しており、資産と差し引きした「純資産」はほぼプラスマイナスゼロとなっている。

 このことは、筆者が指摘してきたように、事実上、財政再建は完了していると見ることができる。

 このIMFのレポートに対する海外メディアの注目度は高い(例えばロイターの記事)のだが、日本のメディアではあまり取り上げられない。

 日本のマスコミは、日本の財政状況は先進国で最悪だと、財務省の説明をうの呑みにしたようなことを書いているが、せめて、「財務省は財政状況が悪いと主張しているが、国際機関などからその主張に疑問も出ている」といった報道をすべきだ。 それが、国民に正しい情報を提供すべき報道機関のスタンスだろう。