その中でワースト1位となったのが京都新聞社だ。財務指標である効率性と健全性の2指標で33社中最下位という結果が響いた。ただ、「京都新聞は経営指標をどう見るか判断が難しい」(全国紙新聞社元幹部)という事情がある。
2006年、京都新聞社はグループ経営を標榜し、京都新聞社と京都新聞COM(販売・広告営業)、京都新聞印刷の3社体制に移行。14年には、持ち株会社「京都新聞ホールディングス(HD)」に社名変更し、HD経営をスタートさせ、新たに「株式会社京都新聞社」を設立している。
今回評価の対象としたのは、この新設会社であり、「地方紙でここまでやるというのは、経営が相当きついことの裏返しだろう」(同)という見方はあるものの、HD全体で財務指標を見ると自己資本比率は70%超と健全性が高い点などには留意が必要だ。
一方、ワースト2位の神奈川新聞社は、「大都会に近いために経営が苦しい地方紙」の典型的なパターン。33社中、都道府県別の購買率(ビデオリサーチ調べ)と普及率(日本ABC協会調べ)で共に4%台で最下位だった。
逆に、ワースト3位となった上毛新聞社(群馬県)は、その購買率・普及率で共に県内トップの座を占める。関東地方で高いシェアを誇る「読売新聞」の猛攻に耐えしのぐその実力には、業界関係者たちからも一目を置かれている。
ただ、購買率を普及率で除して求めた(1)押し紙影響度指数は、33社中最低の1.04という数値となった。試算値ではあるものの、数値が低いほど33社の中で相対的に押し紙の影響が大きいと推察される指標であり、ここでの低得点が特に足を引っ張ったかたちだ。
そして、この指標で1.83という最大値を取ったのが、北海道新聞社だ。同社は「今から40~50年前に、新聞への信用を失墜させるという理由から押し紙を廃止した」(前出の全国紙新聞社元幹部)というから、納得の結果だろう。
そこでの高得点がワーストランキング32位、つまりベストランキングで2位になるという高評価につながった。
経営脆弱度の格差は、“地域エスタブリッシュメント”すらも上層と下層に引き裂こうとしている。
(週刊ダイヤモンド編集部)