仕事中の食べ物はどこまでNG?
会社や人によって違う価値観

「若手社員が、デスクで物を食べながら仕事をしているのは、マナーに反する」「合併した相手会社の社員が、口に物を含みながら発言していることには、企業文化の違いを感じる」――リーダーシップスキルの演習をしていると、こんなふうにおっしゃる方によく出くわす。

 私が所属した外資系企業では、デスクの上にクッキーや飲み物を置いて、それを口にしながら仕事をしたり、それを食べながら私と対話したり、「あなたもどうぞ」と私に勧めてくる日本人社員がたくさんいた。一方で、物を食べるのはリフレッシュスペースや共用のテーブルに限っていて、デスクでものを食べることを禁止している会社もある。

 会議も同様だ。会議室のテーブルにスナックや飴などが置いてあり、それらを口にしながら「リラックスして議論しましょう」という会社もあれば、「厳正な会議に、物を食べながら出席するとはけしからん」という考えの会社もある。

 若い世代は、食べながら働くことに、上の世代ほどの抵抗感はないのかもしれない。さらに、外資系か日本企業かでも、基準は違うのだろう。

 さらに細かく見ていくと、その基準は、口に含む物の内容と、口に含んでいるときの状況によって、変わることが分かる。

「口に含む物の内容」とは、箱型弁当ならばよいのか悪いのか、サンドイッチはどうか、ガムならばよいのか悪いのか、「のど飴」はどうか、タブレット型「のど飴」ならばよいのか、などということだ。一方、「口に含んでいるときの状況」とは、顧客との会議、入社式などの社内儀式、社内会議、昼食時の会議、社員同士の立ち話、ひとりでデスク仕事をしている時という状況によって、口に物を含むことが許容されるかどうかということだ。

 このように申し上げると、「それでは、内容別、状況別に全てを網羅して、○、△、×のマトリックス表を作成して、マナーを徹底しましょう」というように言い出す人が少なからずいる。しかし、私は、マトリックス表を作成したり徹底したりすることに大反対だ。複雑になればなるほど、効果が上がらなくなることは目に見えているからだ。

 そのかわり、複雑な内容や状況をひもといて分解していって、いったい何が相手に違和感を与えているのか、元になる原因を突き詰めていって、許容範囲を考えればよい。

 たとえば、においの出る食べ物は相手に不快感を与えるからNG、口を過度に動かす必要のあるものは、相手からスマートに見られないからNG、といった具合だ。そして、会議に参加するメンバーによって許容範囲は異なってくる。