お願いしたからどうこうなるものではない。

 要は米国側の理由で、少なくとも普天間基地から出ていくことになったということであり、実態としては米軍の「海外部隊の再編」の一環として進められてきたものだ(詳細は後述)。

 しかし、あくまでも日本政府が「沖縄県民のために頑張りました」「頑張っています」ということにしておきたいのか、そんなことは一言も安倍政権関係者から公には語られることはなかったように思う。

 ところが、10月7日のNHKの番組で、菅義偉官房長官が、普天間基地の辺野古移設が実現することで、在沖縄の米海兵隊約9000人がグアム等の海外の基地に移転することになると述べたようだ。

 これまで、先述の通り、危険除去のための普天間基地の辺野古移転としか言ってこなかったようなものであるから、多くの反響を呼んだようだ。

 これだけ聞くと、日本政府、現政権が頑張ってお願いし、交渉して、基地の移転のみならず海兵隊の移転まで確約してくれたかのようである。

 まるで「辺野古に移転させれば、在沖縄の海兵隊員の数も大幅に削減される」「(海兵隊員削減により)墜落事故の危険性だけではなく、米兵による犯罪の数も激減する」といった期待まで抱かせる。結果的に「だから即刻辺野古移転を実現すべきだ」といった、もっともらしい意見も出てきそうである。

正確には米海兵隊の移転に伴う
普天間基地の全面返還

 しかし、普天間基地の辺野古への移転とは、正確には、一義的には在沖縄の米海兵隊のグアム等への移転に伴う「普天間基地の全面返還」であり、「普天間基地がそっくりそのまま辺野古に移転する」という話ではない。

 しかも、これは10年以上前に正式に決まった話であって、現政権がどうこうしたという話ではない。

 従って、菅官房長官の発言のうち、米海兵隊員のうち約9000人が沖縄から出て行くことになっているというところは、「米海兵隊員の多くが出て行く」という点についてはその通りであるが、「辺野古に移転すれば、出て行く」という話ではない。

 ただし、普天間基地の全面返還と在沖縄の米海兵隊員の大規模なグアム等への移転と引き換えに、「代替施設の整備が行われること」とされており、その整備地区が辺野古周辺ということになっている。