いま書店のビジネス書の棚でひときわ目を引くのが「縄文力」というワード。現代人が失ってしまったビジネスの価値観が、約1万5000年前の日本に存在したというのである。いったいそれはどんなメソッドなのか、『縄文人に相談だ』(国書刊行会)、『縄文力で生き残れ』(創元社)の著者で、フリーペーパー「縄文ZINE(ジン)」を発行するニルソンデザイン事務所代表の望月昭秀氏に話を聞いた。(清談社 岡田光雄)
ビジネスマインドとして
縄文力が求められている
ビジネスとは狩りである。新規顧客は匂いに敏感だ。大事な商談は気づかれないように風下から近づき、見積もりに対する判断力を鈍らせるべし―?
最近、ビジネスマンのあいだでは、“縄文”思考法なるものが流行しているという。
縄文といえば、近年は北海道・北東北縄文遺跡群を世界遺産に登録しようという機運の高まりがある。先日、東京国立博物館(上野公園)で開催された特別展「縄文―1万年の美の鼓動」でも、入場者数が35万人に達したことが話題になったばかりだ。
しかし、こうした土器や土偶の人気にとどまらず、ビジネスマインドとして「縄文力」が求められているのだ。
「現代人の多くは、仕事に対して形式ばったルールや、もうけたいという欲に縛られ、がんじがらめになっています。あくまで仕事の本質は生きていくためのツール。にもかかわらず、毎日長時間同じような作業を繰り返し、ストレスや矛盾を感じています。こうした時代に、みんな心のどこかで新しい“角度”の生き方を求めているのでしょう」(望月昭秀氏、以下同)
疲弊している現代人が思い出すべきは“縄文”的な生き方であると、望月氏は主張する。では、実際に縄文人はどんな思考法を持っていたのか。