本来、労働基準法によって派遣社員でも正社員でも変わりなく、6ヵ月以上継続して働いていれば有給休暇を取ることができる。また、派遣社員は3年以上同じ派遣先で働いていた場合、その職場での直接雇用されるチャンスがある。労働者派遣法の第30条で「派遣元事業主の講ずべき措置等」が定められ、1年以上の派遣労働が見込める人に対して、派遣元から派遣先に対して直接雇用を申し入れるよう求める努力義務が、3年間働いている場合は「義務」とされている。

 ちなみに、厚生労働省の「平成28年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によれば、1年以上の派遣労働となる対象者は102万2866人、うち3年見込みが3万5881人だった。3年見込みのうち派遣先への直接雇用の依頼があったのは4180人で、実際に雇用されたのは、わずか1824人。派遣からの直接雇用は狭き門だ。

 派遣社員に関する労働法を調べた正則さんは、「3年経っても何も言われないまま。辞めてともさえ言われない。この派遣会社にいても先が見えない」と悟り、派遣を辞めた。

 辞める手続きをするうち、雇用保険に加入されていなかったことが分かった。交渉すると派遣会社が遡って保険料を支払ってくれたが、市民税なども給与から天引きされておらず、4年間で総額20万円の税や保険料の自己負担分を支払うこととなった。

「給与明細をきちんと見ていなかったのは、うかつだった。ただ、月収14万円なのに保険料が引かれていたら、暮らしていけなかっただろう」と、身震いした。

 それから半年以上、就職活動をしたが、辛酸をなめるような思いを味わった。ハローワークで見つけた企業の面接では、「食い下がってくるなら雇ってあげる。給与もそれなりに出すよ」と上から目線の言葉を投げかけられた。求人の条件には「勤務時間は8時間に残業が1~2時間。月給20万円以上」と書かれていた。屈せずに条件を聞いていくと、実際の拘束時間はもっと長く、夜勤もあることが前提だと分かった。何社受けても、経験のない正則さんの採用は見送られた。ぺーパードライバー状態でフォークリフトを扱える就職先は見つからなかった。

 食つなぐため日雇い派遣も経験した。工場の現場で資材を運び、引っ越しの仕事する日もあった。1日8時間働いて9000円。日々、違う場所に派遣されることがストレスとなったが、行くしかない。もっと、経験を積んで付加価値のある仕事を覚えたい。そう思うと焦った。