結論から申し上げますと、MBAの存在意義は十分にありますし、むしろビジネスパーソンの将来に欠かせない大切な財産だと思っています。

 MBAで多くの生徒を教えた経験と、生徒たちの実体験を聞いて私が思ったのは、MBA効果や重要性はポジションアップに比例して増していくものということでした。

 通常のキャリアプロセスを踏んでいけば、現場からマネジメントへとポジションが変わっていきます。そして自分の立場が変わったときに、突如襲われるのが、仕事における意思決定の「量」と「スピード」です。

 MBA取得に興味を持ち始める20代後半から30代初めだと、大企業内では上司からの指示を受けて、いかに効率的に仕事をさばくかが重要になります。つまり、各部署・各会社に合わせた“局所的”な問題解決に終始することになるわけです。一部意思決定は行うもののその範囲は狭く、さして多くはありません。ところがマネジメントに抜てきれると、就任直後から膨大な量の意思決定を短時間で処理することが求められるのです。

MBAは意思決定に必要な
知識を習得する場

 ではMBAで学ぶことにより、どのような意思決定ができるようになるのでしょうか。

 まず、自身がマネジメントになると、横断的に会社を見渡し経営視点から進むべき方向性を考えた上で、適切な意思決定をする必要があります。自分が積んできたキャリア分野に精通していても、他部署が何をやっているのかは見当もつきません。だからといって、他部署が何をやっているかを学ぶために、一から部署異動して経験をするというのもナンセンスです。

 だからこそ必要になるのが、マネジメントに必要な「ベンチマーク」の習得です。細かい業務内容ではなく、マネジメントに必要なヒト・モノ・カネが会社でどのように活用されているのかを知れば、会社の競争力を高めるために向かうべき方向(目的)を大枠で示すこともできるでしょう。